ピラティスとヨガの違いは?共通点や相違点を解説!組み合わせの効果は?
ピラティスとヨガの違いは?
ピラティスとヨガは一見するとポーズが似ており、同じ運動と思われがちですが、歴史や目的、呼吸法も異なります。ピラティスは体幹を鍛え、バランス力の強化を重視しているのに対し、ヨガは心と体の調和、精神的な安定を保つ方法を伝えています。
ピラティスはドイツ人看護師のジョセフ・H・ピラティス氏によって第一次世界大戦の負傷兵を機能回復(リハビリ)させるために考案されました。
ヨガの発祥は紀元前2500年頃のインドと言われており、日本では平安時代から鎌倉時代にかけ修行として行われていた「瑜伽(ゆが)」が始まりであったと言われています。
それぞれの違いや共通点を比較し目的に合ったエクササイズを選びましょう。
歴史と成り立ち
ピラティス
考案者であるピラティス氏はドイツの小さな町に生まれ、非常に病弱な幼少期を過ごしました。彼は体操選手やボクサーとして活躍していた父の影響を受けあらゆるスポーツを学びます。
大人になり、身体を鍛えることに熱心だったピラティスはイギリスで護身術の指導を行っていました。しかし、第一次世界大戦が勃発し、敵国の人間としてマン島に捕虜として抑留され、従軍看護師として働くことになります。
負傷兵達のため、寝た状態でも行える運動はないのか、怪我の回復をサポートできないかと考えたのがこの運動の始まりでした。
今では当たり前になっている「ピラティス」という言葉ですが、彼の死後も知的財産権として一つの団体に保持されていたため、長らく使われていませんでした。
彼自身はContrology(コントロロジー、コントロール学)と呼んでいました。2000年の裁判で一般用語として認められ、急激に認知度が高まりました。ピラティス氏から直接指導を受けたのは数名で、弟子の教えや功績が世界中に広がっています。
ヨガ
ヨガ、ヨーガは瞑想を主に、精神を統一させ心の安定を会得する修行法の一つです。先述の通り、およそ4500年ほど前にインドで誕生したと考えられています。
ヨガとはサンスクリット語で「結びつける」という意味しており、元々は牛馬につける道具のことを指していました。
1990年代後半から流行しているポーズを中心としたエクササイズ的な要素のあるものは現代版としてとらえた方がいいでしょう。
それぞれの効果・目的
ピラティス
ピラティスは激しい動きがないため、身体の状態に合わせた動きができ、幅広い年齢層で取り入れやすいのが特徴です。
身体の深層部にあるインナーマッスルに働きかけ姿勢を整えることで、内臓を本来の位置に収め、基礎代謝向上のサポートをします。また、柔軟性や筋力も高まり体幹が安定することで怪我防止にもつながります。
ピラティスにはマットを使用して行う「マットピラティス」と創始者が考案した機械を中心とする「マシンピラティス」があります。
ヨガ
ヨガの経典「ヨーガ・スートラ(瑜伽経)」では教えとして修習と離欲を説いています。本来は修行を続けることであらゆる欲望から離れ、心の働きを止滅させるのが目的です。
現代版のヨガでは様々なポーズや運動、瞑想を組み合わせて心身の健康を目指しています。
ポーズの中には腹部を圧迫するものもありますので妊娠中の女性は注意が必要です。
呼吸法の違い
ピラティス
ピラティスはリハビリのために考案された運動であるため、激しい動きがありません。
呼吸法は「胸式呼吸(きょうしきこきゅう)」です。胸式呼吸は肋間筋を動かし、肋骨を上げ下げすることで行う呼吸です。
お腹ではなく、胸全体に空気が入るようにイメージしながら行います。胸腔が広がりしっかりと空気を取り込みやすくなります。
2つある自律神経のうち、交感神経が刺激され、身体は活動を行うスイッチが入ります。
ヨガ
ヨガでは瞑想がメインで、推奨される呼吸は「腹式呼吸(ふくしきこきゅう)」です。
鼻からゆっくり吸い込み、おへその下に溜めるようなイメージで、吐くときはゆっくりと口から出します。
この呼吸法では副交感神経が働き、リラックス効果が期待できます。
慣れていない人が急に繰り返すと眩暈を起こす可能性もあるため徐々に行いましょう。
ピラティスとヨガの共通点
起源や目的が異なるピラティスとヨガですが、呼吸を意識してコントロールする、健やかな身体作りにつながる、基礎代謝の低下を防ぐ、新陳代謝をアップさせる、芸能人やアスリートに人気であるといった点は共通しています。
それぞれに良い要素がありますので、どの教室に通うかは求めている希望や目的によって決めましょう。
呼吸を意識する
日中無意識に行っている呼吸や、緊張している時に行う浅い呼吸、リラックスしている時に行う深い呼吸。
一言に呼吸と言っても、その方法は全く違います。シンプルな動作ではありますが、呼吸を意識することで心身のバランスが整い、集中力も高まります。
健やかな身体づくり
スマホやPCなど姿勢が前のめりになりがちな現代人ですが、それに伴って骨の歪みも発生しやすくなっています。
姿勢は気づけばすぐに正せますが、長年の習慣で発生した歪みは直すことが困難です。腰痛だけでなく、頭痛や便秘などあらゆる不定愁訴のもとになります。
改善するには骨がまとっている「筋肉」を鍛え、正しい位置に誘導する習慣をつけることです。ピラティスとヨガ、どちらにもその効果が期待できます。
基礎代謝の低下を防ぐ
基礎代謝は人間が生きていくうえで最低限必要なエネルギーの事です。安静時にも内臓を動かし、体温を維持するために消費されています。
加齢、不規則な生活、ストレスの蓄積、運動不足、暴飲暴食などあらゆる要因で基礎代謝は低下します。また、同じ身長と体重でも筋肉量が違うと基礎代謝も増減します。
基礎代謝が低いと、むくみや冷え、低体温、便秘、肌荒れ、女性なら生理不順が起こりやすくなります。
長期間ピラティスやヨガを行うことにより、筋肉量が増え基礎代謝低下を改善することができます。
新陳代謝をアップさせる
内臓機能の維持などに必要なエネルギーを基礎代謝と呼びますが、古い細胞から新しい細胞に生まれ変わる時にエネルギーを使うことを新陳代謝と言います。
転んで擦りむいたところが治ったり、皮膚の角質がアカとなって排出されるのも新陳代謝のひとつです。このサイクルもさまざまな要因で低下してしまいます。
ピラティスやヨガには血流を促す動きが多くありますので取り入れることで新陳代謝がアップします。
芸能人やアスリートに人気
芸能人やアスリートの中には美容効果、パフォーマンス向上、健康維持などそれぞれの目的でピラティスやヨガを日常生活に取り入れる人が多くいます。
モデルやタレントとして活動しながらインストラクターの資格を取り教室を開催している方もいます。
表面的な美しさだけではなく、内面から心身ともに健康な身体になりたいという思いは誰でも同じです。
ピラティスとヨガの相違点
資格や流派
ピラティスには機械を利用するマシンピラティスがありますが、ヨガは基本的に身体のみで行います。
ピラティスが生涯で正式に認定したのは2名でその弟子から弟子へと継承されています。国際的に活動している団体も少ないので、インストラクターがどこで資格を取ったのかしっかり確認しましょう。
逆にヨガは古典的なものから現代的なものまで流派が多岐に分かれており、動作にもかなり差があります。ヨガの場合はまず流派から選ぶ必要があるでしょう。
マットの種類
ピラティスやヨガを本格的に行う場合は「マット」が必要になります。
流通量としてはヨガマットの方が多いので代用する場合もあります。それぞれに適したマットとはどのようなものなのか調べました。
どちらのマットを購入する際もオンラインショップでは商品説明をよく読み、実店舗の場合は店員に伝えて相性のいいマットを選びましょう。
持ち運ぶ際にはベルトや、専用ケースがあると便利です。
ピラティスで使用するマット
ピラティス専門のマットは販売数が少ないため、ヨガマットを使用する機会が多いです。
重視されるのは「厚み」です。仰向けや座った状態から始める動きが多く、マットが薄いと背骨や仙骨、膝が当たり痛みを感じてしまいます。
厚みは10mm以上、初心者では12mmほどがおすすめですが、持ち運びがやや不便という面があります。素材によっては8mm台でもしっかりしているものがあります。
足の位置を確かめやすいセンターラインが入っているタイプが人気です。
まずは体験レッスンなどでレンタルマットを試してから購入するのも方法の一つです。
ヨガで使用するマット
さまざまなメーカーから販売されており、種類が豊富で選択肢が多いヨガマット。
標準的な厚みは3mm~5mm、6mm~12mmは厚めという扱いになります。
ネットショップのヨガマット売り上げランキングには6mmがよくランクインしていますので、やや厚めが主流になっているのかもしれません。
ポーズ重視の場合は身体が沈み込まない薄めのマットを選びましょう。
体のバランスと心のバランス
ピラティス氏自身がContrologyと称していたように、ピラティスでは体幹を鍛えて身体をコントロールし、バランス力を強化することで健康が維持されます。
対してヨガでは心と体を調和させバランスを保つことで健康へと導きます。
歴史や成り立ちが全く違うピラティスとヨガ、どちらが適しているかは達成したい目的で変わると言えます。
ピラティスとヨガを「目的」から選ぶ
ピラティスはエクササイズが目的
ピラティスは考案者が幼少期から青年期になるまでに経験したさまざまなスポーツが基になっているエクササイズです。
彼は『10回で気持ちの変化に気づき、20回でその変化が見た目に表れ、30回で身体の全てが変わる』という名言を残しています。
1度や2度行っただけで結果が表れるものではなく、継続的に行うことで身体の状態を良好にします。
ヨガと比べて歴史は浅いかもしれませんが、高齢者のロコモティブシンドローム予防にも推奨され、医療や介護の現場でも取り入れられています。
ヨガは心身の修行が目的
ヨガの起源はインダス文明にまで遡り、非常に歴史が古く伝統があります。
「ヨーガ・スートラ(瑜伽経)」ではヨガの具体的な方法が記されていますが、瞑想と座法が中心でした。
現代では女性が行うようになっていますが男性が行うものでした。
時代に合わせて動きが加わるなど内容も進化していますがヨガは本来、心身の修業が主な目的です。
ピラティスに向いている人向いていない人
ピラティスは筋トレのように重い負荷をかけることがメインのエクササイズではないので、やや物足りなさを感じる人もいるかもしれません。
病後の回復期、運動不足解消など年齢を問わず幅広く行えるという面があります。持病がある人は医師に相談の上で行いましょう。
ヨガに向いている人向いていない人
ヨガにはボディビルようなメニューはないので、見た目の筋肉のつき方を気にする人には向いていないかもしれません。
魂などスピリチュアルな部分に働きかけるような面もあるため、シンプルに運動だけを目的としている場合は合わない可能性があります。
ピラティスとヨガを組み合わせると効果的?
ピラティスとヨガを組み合わせることは可能?
それぞれの特徴や呼吸法、ポーズを会得した上で行うことが望ましいです。一度にどちらも行うのは強引で効率的とは言えません。
すでにどちらかの教室に通っている場合は、間隔をあけて交互に通うか、それぞれの要素を取り入れた教室に絞る方法もあります。
指導する講師選びも大切です。気になることがあれば事前に質問・相談してみましょう。
組み合わせによる身体へのメリット
体幹を鍛え柔軟性や筋力を養うピラティスと、瞑想などで集中力を高めるヨガをうまく組み合わせることで、相乗効果が期待できます。
基礎ベースとして、ストレッチやウォーキングなども日課として心がけるといいでしょう。
単発で数回行っても意味がありませんので、習慣化する環境を整え、継続できるペースで行うことが肝心です。
組み合わせの効果的なトレーニング法
ピラティスには「マットピラティス」と「マシンピラティス」があります。
ヨガと組み合わせたい場合は、マットを中心に行う動きはヨガ、機械を使い目的に合わせた筋肉へのアプローチはマシンピラティスで組み合わせると効果的なメニューが組めるでしょう。
また1日でどちらのメニューも行うのではなく日ごとにプランを計画し、休息日も設け、身体へ過度な負担にならないよう心がけましょう。
組み合わせで改善できること
ピラティスを継続することで、姿勢改善や低下していた筋肉量の増加、柔軟性が得られ、関節の可動域が広がり肩痛や腰痛などの悩みが緩和されます。
ヨガを取り入れることで、集中力が高まり、心が落ち着き、良質な睡眠などの効果を望めます。
結果を早く求めない
ピラティスとヨガを組み合わせることで、短期間で痩せる!と言った劇的効果はありませんので、結果を求めるあまり無理をしないようにしましょう。
スタジオレッスンとオンラインレッスンどちらがおすすめ?
気軽に始められるオンラインレッスン、本格的にスキルアップが目指せるスタジオレッスン、そのどちらも併用している教室もあり、形態はさまざまです。
迷っている場合はどちらを選べばいいのでしょうか?ピラティス・ヨガどちらにも共通していることをまとめました。
スタジオレッスンのメリット
参加者と同じ空間でレッスンを行えます。1人だとなかなか継続しない、モチベーションが下がってしまう人は思い切って、スタジオレッスンを選んでみましょう。
動画を通すより、インストラクターと距離が近いので正しい知識を学べるというメリットもあります。直接声掛けができるので指導者側も指示しやすいです。
レッスン道具はレンタル可能なところもあるので、その場合手ぶらで行くことができます。プライベートレッスンは、より集中して行うことができます。
スタジオレッスンのデメリット
スタジオレッスンの場合、決まった曜日・時間が設定されていることがほとんどです。忙しく固定の休みが取りにくい人には向いていないかもしれません。
プライベートレッスンの料金は割高な設定が多いです。人が集まるところが苦手な方は複数人で行うレッスンでは継続が難しいかもしれません。
オンラインレッスンのメリット
オンラインレッスンでは自分の都合に合わせて好きな時間に始めることができます。スタジオレッスンに比べて比較的安価で受講できます。
顔出しの必要がなければ1人で気軽に行えます。周りの目が気になって集中できないという方にはオンラインレッスンやオンラインでのプライベートレッスンがおすすめです。
すでに経験のある人はレベルに応じてコースを選んだり、好きな内容から選べる場合があります。
オンラインレッスンのデメリット
ピラティスの場合、機械を中心に行う「マシンピラティス」ができません。オンラインでは「マットピラティス」になります。
道具をレンタルできない為、自身でそろえる必要があります。また、ネットの通信環境に左右されるので授業が止まってしまう場合があります。
正しいポーズが行えているかどうかは画面越しではインストラクターの確認に限界があります。人によっては時間の制限がない分、ついついさぼり気味になる傾向があります。
まとめ
ピラティスとヨガ、成り立ちは異なりますが多くの人々によって引き継がれてきた、歴史のあるエクササイズです。両者に共通しているのは健康寿命を延ばすサポートをしてくれるという点です。
ただし、過度な負荷をかけたり、急激に運動を行ったりすると効果を得られず、逆に怪我をする可能性があります。どちらも短期間で結果を求める人には向いていません。
また、レッスンを受講する際に分からないことや不安なことがあれば、事前に相談しましょう。解決しないままスタートしてしまうと、途中で挫折してしまうこともあります。
運動は継続が何より重要であり、日常生活の中に習慣的に取り入れることに意味があります。基本的な知識を学び、自身の体調を把握しながら徐々に体を慣らしていきましょう。
まず、できることから始めるというのも大切です。無理をせずに、相性のいい運動法を見つけましょう。
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